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年賀状考

 


 

#佐賀にある祐徳稲荷神社に左馬が飾られていた。

 

-----「うま」をから読むと「まう」と読めます。「 まう」という音は、昔からめでたい席で踊られる「舞い」を思い起こさせるため、「左」は福を招く縁起のよい駒とされています。 「」の字の下の部分が財布のきんちゃくの形に似ています。 きんちゃくは口がよく締まって入れたお金が逃げていかないため、古来から富のシンボルとされています。」-----

 

知ってました? 知らなかったなあ。私の祖母の叔父に 左馬 という名前の人がいたにもかかわらず、である。祖母が左馬という言葉を知らなかったとは思えないが、親戚の左馬氏は東大受験に失敗して、追加の学費依頼を郷里に頼んだのだが、手違いで連絡が遅れ、これは学費を送ってもらえないのだと勘違いした彼は多摩川に身投げして死んでしまった。祖母は明治39年生まれでその母親の弟だから、明治10年とか20年とか、その頃のことと思われる。なので左馬がおめでたいとは思えなかったのかもしれない。

 

左馬、を見ながらそんなことを思った。

 

 

 

#ソルトレイクシティに住んだとき、通っていたユタ大学の語学教室の先生とずっとクリスマスカードを交わしていた。途中で私が挫けて(英語書くのが面倒になって)やめそうになると「Always keep contact with me!」と書かれていて 再びペンを取らざるを得なかった。ところが、もう5,6年前になるだろうか。突然先生の方から「クリスマスカードは今年限り」と言ってきた。「定年を機にアラスカの娘がお産をするので、仕事をやめて引っ越し、孫の面倒をみることになった。別れを悲しまないでくれ。」悲しむっていうか、びっくりしたよ、先生。

 

2、3年前。大学の1期上の先輩が、病気をしたらしいと、話には聞いていたが、 「年賀状はこれで終わりです」と書かれていて相当驚いた。父の旧制高校の同窓会が「解散」した、と聞いた時も、同窓会ってのは終わるのもなのか!・・・・と思ったが、年賀状も終わるものなのか。しかし一別以来三十数年、ここまで毎年毎年やり取りがあったことのほうが驚きなのかもしれない。

 

一昨年は、郷里に帰って就職したときの先輩が定年を迎えたのだが、「定年を機に年賀状は書かないことにします。長年のご厚情ありがとうございました。」とあって、これも相当驚いた。私が知らなかっただけでそういうものなのか。つめたーい、と思うけど、虚礼廃止と言われればそうですか、とならざるを得ない。そういえば定年退職をすると年賀状がどっと減って寂しいという話を聞いてことはあったが。

 

子供たちも、親しい間柄はネットが発達しているし、若い間は転勤とか同窓生は卒後進学や就職で引っ越すので年賀状は殆ど書かないそうだ。

ナスキ「今は、名簿も個人情報とかで出ないので、書きようがないんだよ。」

・・・・そうですか。

 

 

 

世の中がそっちに動いているとなると、私自身のことも考えないとねえ、と思う。いつも50枚くらい書いていたけど今年はプライベートでは30枚しか買わず、ネットが使えないジジババ族で欠礼できない方をメインに持ってくる。ネットが使える人向けに、「年賀状は少しずつネットに移行する」との宣言を入れておいた(笑)。私でさえこのテイタラクなのだ。ジャパンポストが困ってハガキ代を値上げするというのもさもありなん、である。ネットの方には元旦にメールを送るようにした方が、結果的に正月以外の時の連絡もつけやすい。引っ越しその他の挨拶も簡単に済む。考えようによっては合理的だ。デメリットがあるとすると、その人の筆跡を見ることが出来ないこと、住所の確認が出来ないこと、だろうか。筆跡は性格がわかりやすい。人は会話の時、相手の表情や声の調子を読むけれども、性格、体調など、メールでは分からない。居住地は意外にその人の信用に繋がっている部分がある。うちは家電を外してしまったけれど、家電がないと信用に少し傷がつくかな?という思いは少しあって、使いもしない電話をずっと置いてあった。それに少し似ている。

 

ラインやfacebookやツイッターでの年賀挨拶って少し寂しいけれどこれでいいんだ、と思うことにする。本当に書きたいと思う人に余裕のある時だけ、綺麗な絵葉書や記念切手で出せばいい。携帯が使えないタイプのジジババ族が死に絶えたとき、年賀状文化はいよいよ廃れていくだろう。

 

元々新しもの好きの私としては、新しいやり方に遅れたくない(>そういう問題でもない)。 1995年ただの主婦だった私が新しもの好きだったからこそマッキントッシュに飛びついてパソコンの波に溺れ、後年仕事に就いた時も随分役に立ったけれど、若い人のやり方、特にシンキング(thinking)リズムについていけない(ラップとか?)と思うこともだんだん増えてきた。

 

 

 

 

#暮れに、ものすごく興味を惹かれたNHKのドキュメンタリーがあった。自閉症の男の子、東田直樹という人の話で、かなり重い症状の自閉症の子だった。小学校は普通小学校だったが全くついて行けず、中学に上がるとき、初めて自分の病気の症状を自覚し絶望した。知能が遅れていると周囲には思われ、通常の意思の疎通は周囲とは全くできていなかった。客観的に話を聞くと、よく普通小学校もその状態で通学できていたなと思う。全く理解しないままでは周囲もきつかっただろう。

 

お母さんはなかなかしっかりした人で、彼は文字に非常に興味を示したのでパソコンを教えた。彼は殆ど周囲と話すことは出来なかったがパソコンを通じてなら自分の意思を示すことができるようになり、人と情報のやり取りができるようになった。母親は彼の書いたものをまとめて出版した。本は少しずつ売れていたが、ある日ネットを通じてイギリスの世界的な作家の目に留まる。この作家は日本で英語教師をしていた経験があり、日本語が多少出来た。そして彼の息子も自閉症だった。作家は東田君の作品を高く評価するとともに、自閉症の人が自分(達)の頭の中で起きている状況を初めて世界に向けて説明した本としてあとがきを書き、自分の名前を帯に使って後援した。本は瞬く間に世界30ケ国(2016年現在)に翻訳され読まれるようになった。イギリスのとある本屋の店主が、この店で売れ筋の日本の作家は、1が村上春樹、2が三島由紀夫、3が東田直樹だと言ったのには恐れ入ったが、素人目にもこの本で自閉症という病気への一般理解、研究は飛躍的に進むだろうと思われる。

 

ドキュメンタリーの中で非常に印象に残った部分がある。

 

 

先にも述べた通り、彼が障害を抱えていることを自覚したのは13歳で、このとき普通校に通っていた彼は養護学校への進路変更を余儀なくされた。今の自分がこの時の自分にアドバイスするとすると何と言いますか?と聞かれて、「ありのままでいい」と一旦は答えました。しかし、書き換えます。「辛すぎる毎日を送っている僕には届かないと思う。『僕は人生は短い』という事実を伝えたい。当時の自分には、過ぎ行く時の経過は果てしなく、いつまでも降りられないぶらんこに乗っているみたいだった。でもそのブランコもいつかは止まる。一生懸命漕げば同じ景色も違って見える。」

 

この部分、私には衝撃的だった。数日後、再放送があったので録画したが、この部分だけは何度も繰り返し見た。

 

若干26歳の青年から「人生は短い」と言われると、胸がざわざわする。26歳の私は 時は早い、と思ってはいたけれど「人生は短い」と感じてはいなかった。小学生のころは、いつまでも小学校に通わなければならないのか、という気がしていたから、(小学校ってあまり楽しくなかったよな)(あの学校教育ってどうにかならないのかしら?)(中学、高校はまだよかったかな。)時が長い感覚は理解できる。その長いと感じる時間を絶望の中で毎日生きていくのは辛かっただろう。

 

人生は短い。口に出してみて、自分の言葉の重みが、彼の言葉とどれくらい違うか、探ってみる。ともかく、早速アマゾンでダウンロードして彼の本というやつを読んでみる。イギリス人の作家も言っていたが、東田君には彼の障害は辛すぎるものだっただろうが、自閉症の人、その家族にとって、彼の本は福音だろう。うちのスタッフも明らかな自閉症スペクトラムと思われる子供を抱えている人が数人いるけれど、自閉症とは一見あまり縁がない私の心にも、彼の言葉はしみ込むように入ってきた。私も、もうちょっと一生懸命、ブランコを漕いでみればよかったと、思っている。

 


 

 

#明けましておめでとうございます。

 旧年中は大変お世話になりました。

 今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

 2017年 平成29年元旦

                 ナスカ@たばこ屋ダイアリー

 

 

 

 

 

 

 

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